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風しん流行の兆し! ~予防接種・抗体検査のススメ~

川島宏子 川島宏子

こんにちは。AOKISM(アオキイズム)編集部の川島です。今年の夏ごろからだったでしょうか、「風しんが流行している」というニュースを耳にするようになりました。かつての私は、風しんと言えば子どもの頃にかかるかもしれない病気、くらいの知識しか持っておらず、全く身近なものではありませんでした。それが変化したのは、おそらく2013年ごろ、検診のために受診した婦人科で以下のポスターを見たときでした。

(厚生労働省 「風しんについて」)

このポスターを見て、子どもだけに関係していると思っていた風しんが、実は大人にも場合によって予防接種が必要なものなのだということを知ったのです。そして私も妊娠出産を経て、より一層「みんなが風しんを予防したら、未来の子どもたちを守れるんだ」と思うようになりました。風しんは、予防することができます。特に妊娠を希望している人やその家族、近くに妊娠初期の方がいる場合はぜひ、抗体検査や予防接種を受けることを検討してみてくださいね。

風しんとは

風しんは、1人の風しん患者から5~7人にうつす、強い感染力を有する感染症です。飛沫感染によって人から人へと感染し、感染から14~21日(平均16~18 日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(とくに耳介後部、後頭部、頚部)が出現します。成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛が起こるなど、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病(「血小板」という出血を止める血球の数が減って血が出やすくなる、あるいは血が止まりにくくなる病気)を合併するなど、入院加療を要することもあるため、決して軽視はできない疾患です。ただし、発熱は風しん患者の約半数に見られる程度であること、また不顕性感染(症状を発症していないが感染していること)も15~30%あると言われているため、知らず知らずのうちに感染源となってしまう可能性もあります。風しんが注目されるのは、症状が重症化する可能性があるため、という理由だけではなく、妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、「先天性風しん症候群」と呼ばれる先天性疾患の子どもが生まれてくる可能性が非常に高くなるためです。
「先天性風しん症候群」の3 大症状は先天性心疾患、難聴、白内障で、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3 カ月以内の母親の感染で発生するのですが、難聴は初期3 カ月のみならず次の3 カ月の感染でも出現し、高度難聴であることが多いのです。3 大症状以外にも、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など症状が多岐にわたる可能性がある、重い先天異常なのです。
男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を防ぎ、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に得ておくことが大切です。

国内の風しん発生状況

下のグラフをご覧ください。

NIID 国立感染症研究所 「風疹急増に関する緊急情報(2018)」

2012年から2013年にかけて、風しんは大流行していましたが、それ以降は2014年319人、2015年163人、2016年126人、2017年93人と減少傾向でした。ところがまた今年、流行傾向にあり、第36週(9月3~9日)に147名の報告があって以降、毎週100人を超える報告数が継続しています。厚生労働省は、平成26年に告示していた「風しんに関する特定感染症予防指針」を改正(平成29年12月21日一部改正、平成30年1月1日適用)し、風しん及び先天性風しん症候群の発生時に迅速な対応ができるよう、風しんの患者が一例でも発生した場合に、感染経路の把握等の調査を迅速に実施するように努めるとともに、原則として全例にウイルス遺伝子検査を実施することで、確実に風しんを診断することと規定しています。また改めて定期予防接種に対する積極的な接種勧奨を行うとともに、妊娠可能女性とその家族への予防接種の推奨や風しん啓発を行っており、2020年度までに風しん排除の達成を目指しています。

なぜ抗体検査や予防接種が大切か

風しんを予防する、最も有効な手段は予防接種です。この予防接種によって抗体価を上げることで、風しんの感染を防ぐことができます。
妊婦とくに、妊娠初期の女性が風疹にかかると、お腹の中の赤ちゃんが風疹ウイルスに感染してしまい、「先天性風しん症候群」が起こることはご紹介しましたが、その頻度は風しんにかかった妊娠の時期によって違いがあります。先天性風疹症候群の頻度は妊娠週数が早いほど高く、妊娠4〜6週では100%、7〜12週では80%、13〜16週では45から50%、17〜20週では6%、20週以降では0%という報告があります。つまり、妊娠初期に風しんにかかるとかなり高い確率で「先天性風しん症候群」を発症してしまうのです。
これを防ぐためには、妊娠する希望のある女性だけでなく、その家族や、更には妊婦に接触する全ての人が、風しんの抗体を持っておくのが一番です。それによって、未来の子どもたちを守ることができるのです。
予防接種だけでなく、抗体検査も推進されており、主に妊娠を希望する女性と妊婦の同居家族を対象として、風しんの免疫の有無を確認するための抗体検査を無料で受けることのできる事業を多くの自治体で行っています。抗体価が低いのでは?と心配な方はぜひお住まいの自治体での取り組みを調べてみてくださいね。

万一風しんにかかってしまった場合

風しんにかかった場合の処置としては、熱や関節痛を軽減するための解熱鎮痛剤の服用など、対症療法が中心となります。前述のとおり、発疹の出る前後約1週間は感染力が高いため、不要不急の外出を避けて自宅でしっかり静養することが大切です。とにかく感染を広げないことです。熱が下がったからといってすぐに公共交通機関を利用したり仕事に行ったりすることは避けましょう。それによって、未来の子どもの運命を変えてしまうかもしれないのです…!
また、感染が特定される前も、体調が優れないときは無理な外出は避け、やむを得ない場合も咳エチケットは徹底しましょう。そして風しんを疑う症状(発熱や発疹など)が現れた場合は必ず医療機関を受診するようにしてください。


※出典
厚生労働省 「風しんについて」
NIID 国立感染症研究所 「風疹急増に関する緊急情報(2018)」

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川島宏子

川島宏子

国立音楽大学(ピアノ)卒、グロービス経営大学院卒。
よくこの経歴について「なぜ?」と問われますが、良くも悪くもやるからには中途半端にできない性格で、ピアノを始めれば音大に行き、より広い世界を知りたいと会社に入ればビジネススクールに行き…と、思うままに進んできた結果です。2013年に入社して以来新規事業に携わらせていただき、産休育休を挟んで復帰したばかり。また始まったチャレンジングな日々にワクワクしています。
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