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悪玉コレステロールは本当に悪者?それとも、実は善人?(前編)

川島宏子 川島宏子

こんにちは。AOKISM(アオキイズム)編集部の川島です。私は妊娠時に妊娠高血圧症に罹患して以来、生活習慣病に関心が高まりましたが、「コレステロール」ってなんだかよく分からないなと思っていました。オフィスで目の前にいる管理栄養士の好宮に「コレステロールって何?」と質問しましたが、説明に入る前の第一声が「難しいよ?」というものでした(笑)。そんな、ちょっと難しい「コレステロール」について、噛み砕いてご説明します。
●悪玉コレステロールは本当に悪者?
●健康診断の数字をどう見れば良いの?
●「卵はコレステロールが多いから1日1個までしか食べちゃダメ!」と聞くのは本当?
●コレステロールを上手にコントロールするためには?
そんな疑問にお答えしたいと思います。今回はこれらの内容を二度に分けてご紹介いたしますので、ぜひご一読くださいね。

コレステロールとは?-LDLコレステロールは悪者じゃないの?

コレステロールは、「脂質」のひとつです。コレステロールは食事から摂取するイメージですが、実は食事から摂取するのは20~30%で、残りの70~80%が体内で合成されます。コレステロールというと悪者と捉えている人も多いですが、私たちの体にとって、必要不可欠なものです。だから体内で合成できる仕組みになっているといっても過言ではありません。コレステロールは人間の全身を作っている細胞の膜を形作っているほか、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、胆汁酸などを作る材料にもなります。更にビタミン類などを代謝する大切な役割も持っています。ちなみに、1日に数千個生まれているといわれるがん細胞を退治してくれる免疫細胞の膜も、コレステロールが材料なのです。とにかくコレステロールって大事!なくてはならない!というのがお分かりいただけましたか?
さて、体内のコレステロール量は一定の状態を保とうとして基本的には安定していますが、何らかの原因によって血液中のコレステロールの量が増加すると動脈硬化が起こり、様々な病気の原因となります。だから、下手をするとコレステロールは悪者にもなり得るのですね。

コレステロールは脂質のため、構成成分の90%が水分である血液の中をスムーズに移動することができません。そのため、水と親和性のある特殊なたんぱく質、リポたんぱくと結合して血液中を移動します。いわば、カプセルのようなものの中に入って体中を駆け巡るのです。
コレステロールの中で重要になるのが、LDL(Low Density lipoprotein=低比重〈低密度〉リポたんぱく質)とHDL(High Density lipoprotein=高比重〈高密度〉リポたんぱく質)で、一般的にLDLコレステロールが悪玉コレステロール、HDLコレステロールが善玉コレステロールと呼ばれています。LDLコレステロールは肝臓から出発し、全身に行き渡ります。目的の臓器に到着したらたんぱく質を脱いで「コレステロール」として細胞やホルモンなどを作るのです。実に見事な仕組みで、重要な役割を担っていることが分かります。一方、HDLコレステロールは全身の細胞から余ったコレステロールを回収し、肝臓に戻ります。
使われずに残った血液中の過剰なLDLコレステロールは、動脈の壁に次々と入り込んで、動脈硬化の原因となるのです。これが、LDLコレステロールが「悪玉コレステロール」と呼ばれる由縁ですが、悪玉となるのはあくまで「過剰なLDLコレステロール」。これまでご説明した通りLDLコレステロールの存在自体は悪者どころか、なくてはならないものなのです。

ちなみに、コレステロールの多くは体内で合成されていると書きましたが、私たちの体には、コレステロールを食事から多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に食事から摂取する量が少ないとコレステロール合成が増加する、という仕組みがあります。これは、体のすみずみまでコレステロールが一定に補給されるように、フィードバック機構が働くためです。つまり、食事によるコレステロール摂取量が、そのまま血中総コレステロール値に反映されるわけではないのです。実際、「食事からのコレステロール摂取量を減らすことで、血中コレステロール値が低下するという明確な証拠がない」ということを理由に、日本では2015年、食事におけるコレステロールの摂取量に関して上限値が撤廃されました。つまり「コレステロールが多いため卵は1日1個までしかダメ!」というのは間違いです。ただし、それはあくまで健康な人の話であり、すでに高コレステロール血症の診断がある人には当てはまらないこと、高コレステロールの食品をいくら食べても良いわけではないということには注意しましょう。

近年、動脈硬化を進行させてしまうのは酸化LDLコレステロールであることが明らかにされているので、LDLコレステロールの酸化を抑制することや、LDLコレステロールの量が過剰になるのを防ぐこと、余分なコレステロールを回収するHDLコレステロールを増やすことが、体にとって大切なコレステロールによる「副作用」のようなもの、つまり健康に問題をきたすのを防ぐために必要です。

コレステロール値の見方と悪化の原因、影響

「脂質異常症」という言葉をご存じですか?血清脂質値が異常値を示す病気のことを指します。血清脂質値とは、血液の中の脂肪分の濃度(濃さ)のことで、主に血中のLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の量から診断されます。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、HDLコレステロール値は高い方が良いので、必ずしもこの呼び方がそぐわないということで最近では「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。高血圧・糖尿病などと並ぶ生活習慣病で、「サイレントキラー」と呼ばれます。
血清脂質値が異常でも、通常、症状は現れません。症状が現れないのにもかかわらず、知らず知らずのうちに、全身の血管が傷めつけられます。その影響は主に、動脈硬化となって現れます。動脈硬化が進むと、心臓や脳などの血液の流れが悪くなります。そして、あるとき突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作が起き、QOL(生活の質)が低下したり、ときには命も左右されかねません。だから、コレステロール値を正常に保つことが大切なのです。

LDLコレステロール値が高くなる原因としては、体質(遺伝)、脂肪の多い食事(欧米スタイルの食生活)、運動不足などが挙げられます。男性は40~50歳くらいから、女性は閉経を迎える頃から高くなることが多くみられるので注意が必要です。

高LDLコレステロール血症=LDLコレステロール値が140mg/dℓ以上
低HDLコレステロール血症=HDLコレステロール値が40mg/dℓ未満
高トリグリセライド血症=中性脂肪(トリグリセライド)値が150mg/dℓ以上

この3つの数字のどれかでも範囲を超えたら、脂質異常症と診断されます。また、これらの数字以外にも大切なのが、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率です。下表をご覧ください。

(オムロンホームページより)

たとえば、LDLコレステロール値が135mg/dlで、HDLコレステロール値が45mg/dlとすると、「135÷45=3」で、LH比は3.0となります。例で示したLDLとHDLの数値(135mg/dl、45mg/dl)は、個別にみると、どちらも現在の基準では「正常」の範囲です。治療が必要とされるのは「LDLコレステロール値が140mg/dl以上」、または「HDLコレステロール値が40mg/dl未満」なので、どちらにも該当せず、健康状態ということもできます。ところがLH比でみると3.0というのは、じつは動脈硬化が進んだ「かなり危険」な領域なのです。実際に、LDLコレステロール値が正常なのに心筋梗塞を起こした事例も多く、それらの事例ではHDLコレステロールの値が低い場合が多かったのです。HDLコレステロールは余分なLDLコレステロールを回収してくれるので、この比率がとても大切なのですね。
これらの数字は、健康診断の結果でも明確に記載されていますので、ぜひ健康診断結果を振り返って確認してみてくださいね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?コレステロールについて、少しは理解が深まったでしょうか?
次回は、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らす方法についてご紹介します。ぜひ楽しみにお待ちくださいね。

出典
オムロンホームページ
ソニー損保ホームページ

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川島宏子

川島宏子

国立音楽大学(ピアノ)卒、グロービス経営大学院卒。
よくこの経歴について「なぜ?」と問われますが、良くも悪くもやるからには中途半端にできない性格で、ピアノを始めれば音大に行き、より広い世界を知りたいと会社に入ればビジネススクールに行き…と、思うままに進んできた結果です。2013年に入社して以来新規事業に携わらせていただき、産休育休を挟んで復帰したばかり。また始まったチャレンジングな日々にワクワクしています。
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