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冬の高級食材「アンコウ」が食べたくなる話

好宮聖子 好宮聖子

こんにちは、管理栄養士の好宮です。
「アンコウ」と聞くと、あのインパクトある見た目を思い出す方が多いのではないでしょうか。
しかし、アンコウは「東の鍋の横綱」とも言われ、西のフグと対を成すとても美味しい魚です。また、とても賢い魚でもあるんです。今回はそんなアンコウについてご紹介したいと思います。

冬の旬魚といえば「アンコウ」

アンコウはアンコウ目の魚のことを差します。その中で、食べられるアンコウはすべて「アンコウ科」のアンコウだけで、実は300種ほどいるアンコウの仲間の中でも25種類ほどしか食べることはできません。また、アンコウのほとんどが深海魚で、タラ類の近縁にもあたります。以下、主に私たちが食べている2種類のアンコウをご紹介します。

・キアンコウ(ホンアンコウ)
メスとオスの体格差が激しいキアンコウは、メスは大きいものだと体長 1.5m程に対してオスはわずか50cm前後。太平洋北西部(日本、朝鮮半島、東シナ海)の水深500m程までの深海に生息しています。

・アンコウ(クツアンコウ)
全長40cm前後。インド洋、太平洋の全域の水深500m程までの深海に生息しています。キアンコウの口中は白っぽいのに対して、クツアンコウの口中は黒地に黄白色の水玉模様という特徴があります。

アンコウは、太平洋側では茨城県や三陸沿岸など、日本海側では山口県や島根県などで多く水揚げされていますが、漁獲量の大半がキアンコウで、クツアンコウは少ないようです。
実は、7月8月の真夏を除き通年水揚げされているのですが、アンコウが美味しい旬の時期は12月から2月の寒い時期と言われています。なぜ冬が旬なのかと言うと、冬場の寒い水温により身が締まってアンコウの肉の味が良くなること。また、あん肝も春に向けて肥大化してくる時期のためだそうです。

「アンコウ」は道具を使う賢い魚・・・?

深海魚であるアンコウは、水深600m程までの深海で、主に砂泥底を発達した胸ビレと腹ビレを使い這うように移動し、底魚や甲殻類などを捕食し生息しています。ところで、運動能力が低く動きが遅いアンコウがどうやって捕食するのかご存じでしょうか?
実は、アンコウの英語名Angler(アングラー)=釣り師の呼び名の通り、釣りをして餌を獲得するとても賢い魚なのです。釣りをする時、アンコウは平べったく縦偏した体を砂泥底に潜ませます。そして頭から出ているアンテナのような長い誘引突起を立てて揺らし、自分の餌をおびき寄せます。そして、間違えて寄ってきた生き物をガバッと丸のみにする・・・その瞬間だけは、とても俊敏なのだそうです。このように肉食性で口が大きく、大食漢なアンコウ。主に小魚やプランクトンを捕食しますが、小さなイカやサメ(!)、カレイ、蟹、ウニ、貝などを捕食するものもあるそうです。さらには、たまに水面に出て海鳥を襲うこともあり、解体したら胃の中にカモメやウミガラス、ペンギンなどが入っていたという報告もあるとのことで、実にグルメ・・・です・・・。

アンコウの栄養と食べ方

このように賢く餌を捕獲し、大食漢のアンコウは、とっても栄養豊富な魚でもあります。
特に、あん肝は非常に栄養価が高く、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンEの含有量が全食品中でもトップクラスを誇っています。ビタミンAはウナギの3.5倍の含有量です。
それらの栄養素の主な作用としては、

・ビタミンA・・・目・肌の健康維持、免疫力向上
・ビタミンB12・・・悪性貧血の予防、精神の安定
・ビタミンD・・・骨粗鬆症の予防
・ビタミンE・・・細胞の酸化防止、血流改善

などで、様々な効果を期待できます。また、その他の部位は栄養価が低いかと言うとそうでもなく、肝以外でもミネラルを豊富に含むなど全体的に栄養価が高い魚です。

ところで、「アンコウを自宅で捌いたわ!」という話は滅多に聞かないですよね。それは、アンコウは身がやわらかいこと、体が大きなこと、皮膚がヌルヌルでよく滑ることから「吊るし切り」という特殊な捌き方が必要となるためです。そのため、美味しいアンコウの選び方と言ってもピンとこない方が一般的と思います。
しかし、私たちがスーパーなどで目にする切り身の状態でも美味しいものを見分けるポイントがあります。それは身の透明感です。透明感がありピンク色の物が新しく美味しいアンコウです。鮮度が落ちるとアンコウの臭いが強くなってしまうのですが、そういった切り身は透明感が無く白っぽいものなので、選ぶ時にはよく見てみてください。

最後に、アンコウの美味しい食べ方をご紹介します。
アンコウの美味しい食べ方と言えばやはり鍋です。アンコウは身以外にも「七つ道具」と呼ばれる大きな肝や胃袋、卵巣、皮、ヒレ、さらにエラまでが食べられるお得な魚なのですが、それらを全て入れてこそ正式な「アンコウ鍋」と言われています。
また、栄養価の高いあん肝は、酒に漬けて蒸すと、海のフォアグラと呼ばれるあん肝を最もダイレクトに堪能できる一品となります。

おわりに

今でこそ高級食材のアンコウですが、昔はそのビジュアルから売れ残ることが多く、アンコウ鍋のルーツは漁師料理なんだそうです。捨てる部位が少なく栄養満点のアンコウは、寒い冬の海で働く漁師たちを心身ともに温めてくれたことでしょう。
まだまだ寒い日が続きます。今が美味しいアンコウでスタミナをつけて寒い冬を乗り切りましょう!

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好宮聖子

好宮聖子

管理栄養士。幼少の頃から食べることが好きで、いつからか食べるものや栄養に興味を持ち始める。大学で管理栄養士専攻に進み、「今日食べた物が10年後20年後の自分を作る」こと、「健康づくりは健康なうちからおこなわないといけない」ことを確信。食品の研究開発、スポーツジムでの栄養カウンセラーを経て、健康関連の新規事業立ち上げに携わるためAOKIグループへ入社。
道行く人誰にでも声をかける、スーパー社交的な息子(母は笑顔で見守るしかない)と普段は大人しいが、構って欲しい時の声は誰よりも大きい娘を育てる2児の母。
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